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『ボーダレス〜垣根を超えていく〜』をテーマに掲げるワークウェアスーツにとって、
様々な垣根を超えてきた“ママアスリート”・寺田選手はまさにボーダレスを体現する存在です。
寺田明日香(てらだ あすか)
小学校4年生から陸上競技を始め、小学校5年時・6年時ともに全国小学生陸上100mで2位。高校1年から本格的に100mハードルを始め、2005~2007年(高1~3年時)には全国高校総体(インターハイ)で3連覇、3年時には100m・4×100mリレーと合わせて3冠を達成。高校卒業後の2008年、社会人1年目に初めて出場した日本選手権で同種目史上最年少で優勝すると、以降3連覇を果たした。2009年には世界陸上ベルリン大会に出場、アジア選手権では銀メダルを獲得。同年の世界ジュニアランキング1位の13秒05を記録した。2010年にはアジア大会で5位に入賞した。相次ぐケガ・摂食障害等から2013年に現役を引退。結婚・大学進学・出産を経て、2016年夏に7人制ラグビーに競技転向する形で現役復帰。同年12月の日本ラグビー協会によるトライアウトに合格し、2017年1月からは日本代表練習生として活動した。2018年12月にラグビー選手としての引退と陸上競技への復帰を表明。2019年6月に行われた日本選手権では女子100mハードルで2010年以来の表彰台となる3位に食い込んだ。 8月には19年ぶりに日本記録と並ぶ13秒00をマーク、9月には12秒97の日本新記録を樹立して10年ぶりに世界陸上に出場した。再び陸上競技選手として、東京オリンピックを目指す。
今回は、寺田選手にワークウェアスーツの着心地を実際に確かめてもらった上で、アスリートとしてパフォーマンスを発揮する上で意識している点やボーダレスな挑戦を通じて自分らしい生き方を実現する秘訣について話を伺いました(以下、敬称略)。
本当に軽いですし、座っても立ってもシワにならなくて驚いています。普段着ているスーツはしゃがみにくかったり動きにくかったりするところがありましたが、このワークウェアスーツは本当に動きやすくて、使いやすいですね。
私の場合は比較的パキッとしたジャケットを羽織って移動することが多いですね。合宿などで移動がある際は、出来るだけ体の負担を減らしたいと思っています。体一つで行う競技なので、出来るだけ体に負担をかけたくないという思いがあります。
練習以外にも撮影を伴う取材対応や、講演会等のイベントに呼んで頂くことが多いので、そのような機会に着用させて頂きたいと考えています。
時間を上手く使うことを第一に考えています。独身時代は自分が満足するまで/上手くいくまで練習していましたが、今は時間で区切るようにしていて、完璧を求めすぎないということを大切にしています。完璧を求めすぎると、だんだん苦しくなってしまいますので、メリハリを大切にすることを心掛けています。
過去にはうまくいかなかった時期もあったのですが、その中でも、どうすれば効率的なトレーニングを行うことができるかを模索していました。結果、「メリハリを上手くつける」ということに今では辿り着きました。
はい。10代の頃は「勝たなきゃいけない」とずっと思っていて、勝つことが責任だし義務だし努力することが当たり前のことだと思っていました。勝った時の喜びだったり自分の記録を更新することだけに執着していたのですが、娘が生まれてから、いつも味方でいてくれる存在が近くにいることもあって、「私が楽しそうに競技に取り組んでいる姿を見て欲しい」ということを強く思うようになりました。
勝つことが重要であることは言うまでもありませんが、勝ちを求める中で、「どうやって楽しくできるか」を大切にしながら競技活動に取り組んでいます。
続き:
本番に向けて最高のパフォーマンスを発揮する 2/3
妊娠・出産後、当初はアスリートに戻ろうとは考えていませんでした。一度、競技から全く離れた状態で、3年程経ってからラグビー選手に競技転向する形で復帰したのですが、それ以前に競技をしていた頃と比べて体がかなり変化していました。もともと痩せ体質でしたが、出産を通じてさらに痩せてしまったので、そこからラグビー向けの体を作るのはなかなか過酷な作業でした。食事管理にもシビアに取り組まなければならなかったのですが、それによって今の私があるので、学べたことも多いのかなと思っています。
私一人だけではなく、色々な方々にサポートして頂いていて、チームとして動いているのですが、皆さんがどうすれば私のパフォーマンスが良くなるかを考えて動いてくださっているので、その期待に沿えるように全力を尽くすことを第一に心掛けています。また、本番を万全の状態で迎えるためには、普段の準備が第一です。「これだけやってきたんだから普段通りやれば大丈夫」と自分を信じてあげることが大切です。
私の場合、大きな舞台になると、緊張したり緊張しなさすぎたりすることがあるのですが、その際はそういう状態の自分を認めてあげることを意識しています。緊張することは悪いことであると思われがちですが、緊張がないと「頑張ろう」という気持ちも起きてこない場合もあると思います。緊張しているのであれば、「今日は頑張ろうと思っているんだ」「今日に賭けているんだ」と自分の中で腹落ちさせて、「今日はどういう走りをしなければいけないのか」ということを整理しながらスタートラインに立つようにすると、良い走りができるのかなと思います。
昔は若かったので、周りの方々からどう見られているかを気にしていましたが、今はあまり気にしなくなりました。逆に、私に目を向けてくださっている/気にかけてくださっていると捉え、そういう方々の期待も一緒に乗せて走れたら良いと考えるようにしています。結果、今はとてもポジティブな気持ちで走ることができています。
日々、実感しています(笑)自分のパフォーマンスアップに一緒に取り組んでくださっている方々がたくさんいらっしゃるので、その方々に対して、「どうすれば寺田明日香に関わってもらって良かったと思ってもらえるか」を常に考えています。
実は、一度目の陸上選手の頃は、「スタッフの方々に対して弱い部分を見せてはいけない」「自分ですべて処理しなければいけない」という思いが強かったのですが、復帰してからは色々な方々に助けてもらうことを心掛けています。また、練習メニュー等で疑問を持ったら指導者の方にすぐに聞くようにしていますし、一方通行のコミュニケーションではなく、双方向で意見を言い合いながら様々なことを組み立てるようにしています。
続き:
ボーダレスな挑戦を通じて得られるもの 3/3
はい。陸上競技を引退したら大学に入学して「自分はどんなことに興味があるのか」「どんな学問が好きなのか」ということを知りたいと思っていたので、引退後、早稲田大学に進学しました。
企業への就職に関しては、陸上競技を引退したのが23歳で、競技者としては若い年齢だったので、出来るだけ新卒の方々と同じようなラインで社会に出たいと思っていました。また、その時点で引退するならば、社会に出てもあまり遅れを取らずについていけると思っていましたし、アスリートではなく社会人として生きていくためにはどうすれば良いかということを早い段階から考えていました。
自分のパフォーマンスが客観的にどう評価されるのかを考える必要があるという点で、アスリートとビジネス/学術の分野は似ていると思っています。アスリートの場合、客観的な視点を持たないと悪い方向にハマって行ってしまいますし、ビジネス/学術の分野でもそうだと思います。客観的な意見と主観的な思いを柔軟に組み合わせていくことが共通して必要なのではないでしょうか。あとは、いずれの分野においても、自分と戦う場面がいくつも出てくると思うのですが、その際に、もう少し頑張れるのか/それともこの場面では折れなければいけないのかを考える必要があって、その意味で、我慢強さと柔軟性が必要な点についても共通する部分があると思っています。
あらゆることに積極的に取り組むということが一番なのかなと思っています。私自身、ラグビーに競技転向した際に、年下の選手が多く、その中で、どのようにコミュニケーションを取れば良いのか悩んだことがありました。先にその分野に飛び込んでいて知識がある人に対して、どう上手くコミュニケーションを取って、トレーニング方法や技術について教えてもらえるかが大切なので、年齢に関係なく、技術を持った人に対して高いプライドを持たずに積極的にコミュニケーションを取っていくことが大切なのではないかと思います。
ラグビーを始めた時も陸上競技に戻る時も、ネガティブな声はいくつか頂いていました。ただ、その中で、「自分はどうしたいのか」ということを考えた時に、周囲の方々からの見られ方ではなく、「自分が本当にやりたいと思う道に進んだ方が後になって自分の中で納得できるのではないか」と考えました。なので、そういったネガティブな声は真摯に受け止めつつ、一旦は置いておいて、「自分はこうなりたいからこういう道に進むんだ」という考えのもと、自分が選んだ道に進むことを決意しました。
色々な方々にお話を聞くようにして、それを自分の中に取り入れた上で、「何年か後に後悔しないかどうか」を大切にしています。私自身、陸上競技に戻ることを決断したのが28歳の時だったのですが、「今、陸上に戻るという選択をしないと、後になって後悔するんじゃないか」という思いが強くありました。その時に出来ること/後になってからでは出来ないことを考えた上で、将来、例えば、50歳や60歳になった時に、「あの時、あの道を選べば良かった」と後悔しないような意思決定を行うことを意識しています。
直近ではオリンピックがあるので、オリンピックで活躍することを第一に考えていますが、その後は、後輩のサポートだったり、社会に自分がどう貢献できるのかということを考えていきたいです。「自分はどんなことができるのか」をしっかりと考えた上で、世の中の方々が寺田明日香に対して求めることを生み出していければと考えています。
文:勝木健太